2019年のNHK大河ドラマは『いだてん』です。
“いだてん(韋駄天)”は仏法の守護神で仏舎利を盗んだものを追いかけて取り返したほど走るのが早い神とされます。
この事から足の速い人のたとえとして用いられる様になっています。
今回は第20話のあらすじを紹介します。
<いだてん 20話あらすじ>
治五郎がIOC会長クーベルタンに直訴状を送ったこともあり、アントワープでのマラソン競技は正式種目に復活しました。
今回は、会計監督の岸の尽力により、選手15人と監督1人の渡航費が支給されることとなします。
マラソンには四三と茂木の他2名が、テニスにはアメリカ在住の有力選手2名が、十種競技に野口が、水泳に内田が派遣することが決められました。
徳重に追われる身になってしまった孝蔵は、東京を離れて浜松の勝鬨亭で高座に上がっていました。
ある日、孝蔵はちいちゃんから自分の落語は面白くないと言い放った政治が、春から帝大生になっていると聞きます。
医師に泳ぎを禁じられた政治でしたが、その後も”浜名湾遊泳協会”を率いていて、アントワープに選出された水泳の内田正練もこの協会に所属していました。
オリンピック出場を祝う会で、政治は内田からクロールと云う泳法がある事を聞かされたが、その場では笑い話とされてしまいます。
ある日、夜が明けきらない早朝に下宿の近所を走っていた四三は、自作のトレーニングウエアを着てランニングしているシマに出くわします。
シマは女子のスポーツが認められない理不尽さを感じながら、人目を忍んで練習していたのでした。
「男が走ると喝采を浴びるのに、女は人目を気にして、こっそり走るしかないなんて」
四三は、シマの不満にどう答えたらいいのか分かりませんでした。
1920年(大正9年)5月、アントワープに向かう日本選手団の壮行式が横浜港で行われ、選手団主将の野口、監督の辰野ら14名がサンフランシスコに向かいました。
一行は、ニューヨークで治五郎と2名のテニス選手と合流し、船でロンドンを経由してアントワープを目指しました。
その頃、東京女子高等師範学校では、講師室でトクヨが自分は女子体育を使命に生きると誓ったのにその男性の事を思わずにいられないシマに漏らします。
今、別の男性との見合い話がきているので、シマにトクヨの代りに行って欲しいと言うのでした。
ロンドンに向かう船上で英国への入国手続き為に集められたパスポートが、四三の名字が金栗ではなく池部となっていたことで、養子縁組して妻子がいることが知れ渡ってしまいます。
金メダルを獲ってから発表するつもりであったと言い訳する四三に、発表してしまったから金メダルを獲れと治五郎から励まされるのでした。
8月3日にアントワープに着いた一行は14日にオリンピック開会式を迎えます。
入場行進を前にして日本選手団がロッカールームに集まっていると、横浜正金銀行のロンドン支店に勤務している弥彦とが訪れ再開をはたし、8年前のストックホルムを振り返ります。
開会式が終わった後で、四三は帰国してからの報告会でスヤを皆に紹介すると、スヤ宛に手紙を送ったのでした。
それから3カ月後、東京高等師範学校の講堂でオリンピック報告会が開かれました。
会場の片隅にはスヤと実次が居ましたが、四三の姿はどこにもありませんでした。
主将を努めた野口が壇上にあがり、欧州視察中の治五郎に代わって報告を始めます。
テニスは、シングルスもダブルスも銀メダルを獲得、十種競技は最下位と報告が続く中、政治が会場に入ってきました。
壇上では水泳の内田が、斎藤ともども予選敗退したこと、世界の競泳会がクロール全盛となっていて、日本も早急にクロールの普及が必用との報告をします。
最後に野口はマラソンの報告を始めます。
四三は、折り返し地点での25位を35キロメートル地点では5位まで追い上げたが、その後失速して2時間45分の16位でホールしたと報告します。
マラソンを復活させながら無様に負けた責任について、トクヨが治五郎の会見について詰問します。
そてに対して、日本人で初めてオリンピックでのマラソンを完走しており負けではないと、会場からスヤが叫びました。
報告会の後で、永井は野口とトクヨに治五郎の言葉を伝えます。
「会長職を辞する決心をした。私も古い人間だからね」
50年後、100年後の日本の選手が今と変わらずスポーツを楽しんでいることを望んでいる治五郎の言葉でした。
傷心の四三は、オリンピック後にヨーロッパをさまよい、幻となったオリンピック開催地のベルリンに辿り着いていました。
絶頂期に金メダルを期待されながら、戦争で中止されたため挑戦する事さえかなわなかった夢の檜舞台でした。
スタジアムの近くで、この先の事を考えていた四三の足元に、突然槍投げの槍が飛んできます。
すると短パン姿のドイツ人女性がやってきて四三に謝りまった後で、ずっと離れた場所まで再び戻っていきました。
「・・・え、そぎゃんとこから?」
四三は、女性が槍投げでこれほどの距離を投げられることに驚愕するのでした。
次に、2019年のNHK大河ドラマ『いだてん』の出演者が語る『いだてん』の役柄に対する思い等をまとめました。
田畑政治役の阿部サダオさん、池部幾江役の大竹しのぶさん、黒坂辛作役のピエール瀧さん、小梅役の橋本愛さん、橘家円喬役の松尾スズキさんの想いなどを紹介します。
~阿部サダオさん~
阿部さんは、宮藤官九郎さんが書いた”過去と現在が縦横無尽に行き来する筋立て”が、とにかく面白いと仰っています。
ドラマで描かれる田畑政治を、新聞記者らしく頭が切れて口も達者で、どんな相手でもひるまず攻めていく、周りが止めないと大変な騒ぎになる傍迷惑なタイプでありながら、どこか憎めない人と捉えたそうです。
煙草をせっかちに吸うシーンが多くあり、実際の田畑さんもせっかちだったらしく、阿部さんも”早くメインディッシュを出して欲しい”タイプなので似ているとも仰っていました。
人が無理だと思う事にトライし、境界や限界を飛び越えていくエネルギーに魅力があり、演じていて好きになったそうです。
戦争によって育てた選手を失ったり、戦後に日本選手が受けた冷たい視線などで味わったりしからこそ、オリンピックで日本に希望をもたらそうと考えたのではと思ったそうです。
東京が世界に知られる国際都市になったのは、田畑さんのような人がいたあるからで、地元浜松出身の知人でさえ功績を知らなかったそうです。
このドラマは、日本の水泳の歩みにも接する事ができるので、現役の水泳選手の皆さんにも見て欲しいと仰っています。
オリンピックに関わりながら、ヒーローにはなれなかったふたりの主人公のひとりである田畑政治を、阿部さんがどのように演じてくれるのかが楽しみです。
~大竹しのぶさん~
大竹しのぶさんは、熊本ロケで幾江さんの3人のお孫さんに会われたそうです。
お孫さんたちは、お母さんのスヤさんは可愛い人だったけれど、お祖母ちゃんの幾江さんは怖かったと云う話をきいたようです。
幾江はとにかくスヤだけが大事で、その他の男たちは雑魚と云う感じの人だったそうです。
あらゆる判断の基準がスヤのためにと云う面とスヤを守るのは自分だ的な裏の無い個性を感じていたように思えます。
池部の家を守っていくと云う事が幾江の大きな仕事なので、四三とスヤに頼ってもらえる存在になれたらと大竹さんは仰っていました。
四三を見ていて、何がそこまで情熱を傾けさせるのかとか、他の人達の上辺だけでは分からない苦しみや幸せについて、考えさせるドラマになると思っているそうです。
独特の存在感とお茶目な大竹さんが演じる怖い幾江さんが楽しみです。
~ピエール瀧さん~
ピエール瀧さんが演じる黒坂辛作は、播磨地方出身で東京大塚に小さな店を構えた足袋職人です。
“軍師官兵衛”でピエールさんが演じた蜂須賀小六も播磨に縁が深かったので、妙な縁を感じたそうです。
辛作は、江戸っ子気質の頑固者で、当時の東京では一般的な人だと捉えていたと言います。
それが、四三に頼まれて走るための足袋を造ることで変わっていきながら、未知のものを造ると云う、職人にとってはしんどさ半分と楽しさ半分だったんじゃないかと、ピエールさんは辛作の気持ちを考えていたようです。
四三の依頼に応えることは、応援すると言うより職人の意地としての辛作の勝負だったのかも知れません。
手作りの足袋をつくる場面のために、指導を受けた時には指が痛くてミシンが登場している時代だったらと密かに思ったようです。
オリンピックに参加できるのが当たり前の時代ですが、その現実は先人たちが積み上げた努力の上に成り立っていると云う事実に目をとめる事に意味を感じるとも仰っていました。
ピエール瀧さんが演じる”宵越しの金は持たねぇ”的な江戸っ子の黒坂辛作が楽しみです。
~橋本愛さん~
橋本愛さんは、出演が決まった時、宮藤官九郎さんの脚本に触れる事ができる喜びと、魅力的な俳優陣との共演が楽しみだったと言っていました。
小梅は、きっぷが良くて格好イイ女性なので、橋本さんは演じる事が楽しいそうです。
いつも飲んだくれている孝蔵が心配で、ちょっと面倒をみたりするのは、自分の過去と重なるものが見えたからのではと思っていたそうです。
橋本さんは小梅を演じながら、負のスパイラルから抜け出せない孝蔵が、自分の子供のように見えてきたとも仰っていました。
小梅が話す”江戸言葉”を練習していると、抑揚だけでは不十分でお腹から発声しないと、”江戸言葉”特有のどっしりとして中にもきっぷの良さが表現できない事がわかったそうです。
また、着物の帯を締めての演技はいつも以上に体幹が大切だと思って筋トレを行ったようです。
今回の小梅は明るい性格ですが、内面に秘めた負の部分も意識しながらの演技を心掛けたと言う橋本さんの演技が楽しみです。
~松尾スズキさん~
松尾さんが演じる円喬は、内側の熱いものを表に出すのは野暮だと考える、相手を見て演じるべきところでも敢えて相手の顔を見ずに話したりするシャイな人です。
孝蔵を、別の師匠に預けてもたりと表面の冷たさと、内に秘めた優しさなどと、松尾さんは円喬が独特の美学を持っていたのではと云う気がするそうです。
また、宮藤さんが円喬と孝蔵の関係を、松尾さんと宮藤自身のさん関係に重ねていると感じたと仰っていました。
松尾さんは、宮藤さんが劇団にきたときも、雑用を任せている内に作家になり俳優になったと言っています。
“勝手にやらせたらよくなる”と言う予感が似ているのではないかと思ったようです。
もともと落語は好きだったそうですが、演じるとなると別物で、指導の古今亭菊之丞さんに教えてもらいつつ常に練習をして、とっさに出るくらいになるまで頭の中で繰り返していたそうです。
自分を喜劇人と自称する松尾さんは、落語の演目が演じ手によって変わるように同じ人でも日によって変わると言います。
“笑い”と云うものに独自の価値観を持っておられる松尾さんが、どのように橘家円喬を演じるかが楽しみです。
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