今回は松本清張さんの長編小説『ガラスの城』のネタバレあらすじを事件結末、犯人、真相まで解説していきます。
松本清張さんの『ガラスの城』は、1962年に雑誌『若い女性』に連載されていました。
1977年と2001年にドラマ化され、2024年に『テレビ朝日開局65周年記念 松本清張 二夜連続ドラマスペシャル』の第二夜の放送が決定。
それでは松本清張さんの『ガラスの城』の登場人物、原作ネタバレあらすじを見ていきましょう。
目次
松本清張さんの『ガラスの城』あらすじ
東亜製鋼株式会社の東京支社では、慰安旅行が計画されていました。
修善寺に訪れた一行は宴会を終えて、各々の部屋に戻ったが、東亜製鋼の販売部課長の杉岡が謎の失踪を遂げます。
そして後日、杉岡はバラバラ死体となって発見されました。
三上は杉岡の事件の真相を調べ始めますが、のちに彼女も行方不明になります。
三上の同僚社員である的場は三上の手記を基に、杉岡の失踪事件の真相をつかもうと調べていくのでした。
『ガラスの城』のドラマキャスト登場人物と相関図
- 三上田鶴子…東亜製鋼の販売部管理係。上司の杉岡が失踪したことに疑問を抱き、独自に調べ始める。
- 的場郁子…東亜製鋼の販売部タイピスト。三上の手記を基に更なる調査をする。
- 杉岡久一郎…東亜製鋼の販売部課長。社員旅行中に行方不明になる。富崎の妻・玲子と不倫していた。
- 富崎弥介…東亜製鋼の販売部次長。妻・玲子との関係は冷え切っていたが後に玲子が亡くなり自責の念に駆られる。
- 野村俊一…東亜製鋼の販売部次長。地味な存在だが杉岡を恨んでいて彼を殺害した。三上を利用して犯行をうやむやにしようとした。
- 田口欣作…大阪から転勤してきた庶務主任で、課長の顔色ばかり伺っている。
- 鈴木信子…販売部管理係で、高学歴の才女。
- 橋本啓子…販売部計算係で、派手な身なりをしている。
- 浅野由里子…販売部計算係。昨年入社した新人社員。
- 和島好子…庶務課のOL
- 富崎玲子…弥介の妻で杉岡と不倫していたが、別れる決意をしていた矢先、睡眠薬の過剰摂取で亡くなる。
- 林田徳右衛門…玲子の叔父で林田花壇を経営している。野村の弟と顔見知りだったため、杉岡を運搬する際に使用した土を提供してしまう。
- 鳥飼…警視庁捜査一課の刑事。杉岡の失踪事件を担当し、的場郁子の調査に協力している。
松本清張 顔ドラマネタバレあらすじ結末と犯人2024原作本より
『ガラスの城』ネタバレあらすじ犯人・事件結末
三上田鶴子の手記
会社の社員旅行で杉岡が失踪して、10日後に工事現場で遺体が切断された状態で見つかりました。
三上は旅行の初日に杉岡らしき人物が、自分たちが宿泊している旅館の浴衣を着た女性と抱き合う姿を目撃。
そのあと田口と一緒になり、三上は田口も同じ様子を見たのではと予想します。
しかし、三上は事件を調べるうちに杉岡は女性と抱き合っていたのではなく、相手女性は何らかの理由で杉岡を別の場所へ移動。
そして殺害したのではと推理しました。
更に、三上は同僚の的場も杉岡の失踪事件の真相を調査していると知ります。
ある日、富崎次長の妻・玲子が自殺、葬儀で由里子の母親が富崎に声をかけようとしますが、富崎は一貫して無視しているのを見かけました。
由里子の母親と玲子が同郷であることを知った三上は「私は、ある人物を訪ねなければならない」「私の推理が当たっているとすれば、恐ろしいことである」と残し、三上は失踪してしまうのでした。
的場郁子のノート
警察に三上の手記を見せられた的場は、手記の内容と自身の推理が一致するのと同時に、三上も杉岡と関係があったのではと疑います。
ですが、
- 遺体の運搬方法は?
- 修善寺の空き地で杉岡が話していた女性は誰?
- 橋本啓子が2時間も同室の由里子に部屋を離れさせた理由は?
- なぜ現場以外の土が混ざっていたのか?
- 杉岡の遺体を傷つけ、工事現場に残されていた街路灯のグローブ破片の意味は?
などの不明点も多数ありました。
的場は更なる調査を進めていくと、もしかしたら三上の手記は虚偽ではないかと思い始めます。
杉岡は女性に対して軽薄で部下の妻にも関係を迫り、現に妻を寝取られた富崎は出世のため関係を黙認していました。
しかし、杉岡が野村を贔屓するようになり富崎次長は良いように利用されたと思い、復讐のため殺害したのではと的場は推理。
さらに富崎の妻・玲子と同郷である由里子の母親から、玲子の叔父が修善寺で造園を経営していることが判明します。
造園業なら杉岡の遺体を切断して、土と一緒に運搬することは可能です。
ではなぜ他所の土が遺体に混ざっていたのか、的場は答えに行き着くことが出来ません。
玲子の叔父が経営する林田花壇を訪ねた的場は、そこで野村次長によく似た庭師を見かけます。
三上の手記は富崎に疑いが向くよう書かれていましたが、手記の内容が虚偽であることを的場は確信。
警察は真犯人が事実にたどり着くのを恐れて、三上を殺害したと推測していますが、まさにその勘違いが犯人の狙いだったのです。
事件の犯人と結末
三上の手記自体がトリックだったと分かった的場は、真犯人に武蔵野の造園所に呼び出されました。
そこにいたのは野村次長だったのです。
野村と杉岡は高校の同級生で、杉岡は当時野村と交際していた女性を奪った挙句に自殺に追い込んだ過去がありました。
元カノのこと、会社で自分を蹴落として出世したことや富崎の妻まで被害に遭っていることが野村は許せず、復讐を決意。
野村は杉岡を殺害し、富崎に濡れ衣を着せれば。自身の地位はこの先安泰だと考えます。
愛人だった三上を利用して「富崎が自分の妻と杉岡の不倫に感づいて、乗り込む気らしい」と杉岡に吹き込みました。
動揺した杉岡は玲子との逢引き場所を変更。
東京に戻るため、野村が手配した車に乗り込みます。
ですが、車の運転手は実は野村の弟で、車中で杉岡にクロロホルムをかがせて気を失わせ、雑木林で殺害しました。
的場が見かけていたのは野村ではなく弟の方で、杉岡への復讐のために1週間前から林田造園に手伝いに行かせていたのです。
杉岡の遺体は土ごと巻きつけられて、運搬され工事現場に埋められます。
遺体に殺害現場以外の他の土地の土が混ざっていたのは、このためでした。
杉岡の遺現場場にあった街路灯のグローブの破片は、野村の弟が遺体を埋めた現場を物色していたときに偶然見つけ、杉岡殺害の際に傷つけたモノでした。
野村は三上に妻と離婚して君と結婚すると匂わせ、偽の手記を書かせた後に手記に真実味を持たせるため三上を殺害します。
的場は三上の手記にあった「醜い女であっても、その女を愛してくれる人が絶対にいないとは言い切れない。私はそれを信じたい」という一節に彼女の切ない恋心を感じました。
自白した野村は「三上がここで眠っていると」土を踏みしめ、的場を追い込みます。
そして野村の弟が背後から的場の口を塞いだ瞬間、警察が来ました。
真犯人の目星がついていた的場は、和島に警察に連絡するよう頼んでいたのでした。
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松本清張のガラスの城 ネタバレ犯人まとめ
松本清張さんの『ガラスの城』は三上の手記でミスリードを狙い、的場のノートで事件の真相を暴く二部構成になっています。
特に三上の手記はひらがなを多用し、女性らしいファンタジーな感じがあるそうです。
女性の心理描写の上手さ、男性の野心をたぎらせた出世争いなど見どころ満載。
松本清張さんの隠れた名作を楽しんで、視聴してみてはいかがでしょうか。
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